電線とは

 電線という言葉は、従来、電力や電気信号を伝える金属線の総称とされてきましたが、今では金属線のほかに、光ファイバのようにガラスを用いて光信号を送るものも含まれるようになりました。

 電線と並んでケーブルという言葉が使われていますが、電線とケーブルとの間には明確な区別はありません。一般には構造が複雑で太く、シース(外装)のあるものをケーブルと呼んでいます。

 電線は、日常生活や産業・経済に欠くことのできない社会インフラを支える資材であり、社会生活の動力となる電気や、コミュニケーションに欠かせない情報を伝達する重要な役割を果たしています。人間の体にたとえると、社会にとっての血管や神経に相当し、社会生活の向上、産業の発展、文化の向上に大きく貢献しています。

目次

 

電線の種類と役割

 電力用電線は、電気エネルギーを輸送することを役割としています。送電といって発電所で発電された電気を消費地の変電所に送る役目、配電といって変電所で所定の電圧に下げられた電気を工場、ビル、家庭などの電気引込口まで配る役目、さらに配線といって電灯や機械装置などのある場所まで電気を導く役目があります。

 発電所から消費地までの電力輸送の役目を果たすものが送電線路です。

 火力、原子力、水力などの発電所で起こされた電気は、鉄塔に張られている架空送電線又は地下に布設された地中送電線で超高圧変電所、1次変電所、2次変電所と順次電圧を下げて送られます。

 3次変電所(配電変電所)で電圧を下げた電気を消費者の付近まで運ぶ役目をもつのが配電線です。

 この配電線には、架空布設の場合と地中布設の場合があります。

 一般家庭用としては、柱上変圧器で電圧を下げてから消費者の軒先まで引き込み、軒先から積算電力計を経て屋内に配線されます。また、多量の電気を消費するビルなどでは、地下ケーブルで供給されています。

 配線は、最終使用箇所、すなわち工場・ビルなどにある機械設備や電気機器照明、一般家庭に電気を配る役目を担っています。

 

 通信用電線には、電気信号を伝えるメタル通信ケーブルと光信号を送る光ファイバケーブルがあり、音声、画像、映像などの情報を伝送することを役割としています。

 メタル通信ケーブルの代表的なものに電話用ケーブルと同軸ケーブルがあります。電話用ケーブルは、加入者の電話機から電話局の交換装置を経て相手の加入者の電話機まで音声を電気信号に変換して伝えます。また、電話局相互の間は、光ファイバケーブルにより電気信号を光信号に変換して伝送しています。

 電話用ケーブルとしては、主に市内ケーブルが加入者と市内電話局との伝送用に用いられています。長年、市内の電話局間には市内ケーブル、比較的近い都市間には市外ケーブル、中距離の都市間には搬送ケーブル、長距離の都市間には同軸ケーブルがそれぞれ用いられてきましたが、現在では、これらの電話用ケーブルは光ファイバケーブルに移行しています。また、国際電話や海外にインターネット接続するための海底通信ケーブルも海底光ファイバケーブルとなっています。

 同軸ケーブルには、テレビ送信所のアンテナ給電用同軸ケーブル、テレビの映像を送るためのテレビカメラ用ケーブル、テレビのアンテナから受像機まで映像と音声信号を伝えるテレビ受信用同軸ケーブルがあります。

 近年、衛星放送、都市型CATV、携帯電話などの普及に伴い種々の同軸ケーブルが使用されるようになっています。

 

 光ファイバケーブルは、電気信号を光信号に変換して伝送するシステムに用いるケーブルです。

 光ファイバの主なものは、石英系光ファイバです。細く、軽く、低損失で高速・大容量の情報伝達が可能なことから、高度情報化社会のインフラとして重要な役割を果たしています。

 

 巻線は、電気機器の内部にコイル状に巻かれ、機械エネルギーを電気エネルギーに変えて発電に寄与するものと、他の電線によって送られてきた電気エネルギーを機械エネルギーに変えて動力を得るものとがあります。たとえば発電機は外から力を加えて電気を発生させますが、モーターは外から電気を送って回すわけです。これらに使用される電線を巻線といいます。

 さらに上述のほかに各種の電線が、電車、航空機、船舶、自動車、人工衛星、玩具など非常に広範囲に使用され大きな役目を果たしています。

 

電線の種類と用途

 電線には、次の写真のようにいろいろな種類があります。

 電線の種類は、次のような方法で分類することができます。導体の材料(銅、アルミ、ガラスファイバ)、導体の構成(単線、より線)、被覆の有無(裸線、被覆線、さらに被覆の材料別)又は単心、多心による分け方、統計上の分類に基づく分け方、電線の使用目的による分け方などですが、ここでは、具体的な用途によって分類することにしました。

集合写真

電線の集合写真

 

主要用途図で身のまわりのどのようなところで電線が使われているかを確認することができます。

電線の主要用途図

 

 

電力用の電線

 火力発電所、原子力発電所、水力発電所などで発電された電力は、次のような経路を通って消費者のもとに送られます。

送電線路

 発電所で発電された電力は、この線路を通って消費地の変電所まで送られます。

配電線路

 変電所で所定の電圧に下げられた電力は、この線路を伝わって工場、ビル、家庭などの電気引込口まで配られます。

配線経路

 電気引込口まで引き込まれた電力は、このルートをたどって家庭の電灯や電気機器、工場の機械装置などのある場所まで導かれます。

 

1.架空送電線

 架空送電線は、海岸の火力発電所、原子力発電所、山あいの水力発電所などから都市や工業地帯などの電力需要地の近くの変電所まで、高い鉄塔に電線を架けわたして、電力を送る電線路です。

 発電所の大容量化、電力需要の増大に伴い、送電線も超高圧、大容量のものになり、500kVの架空送電線がほとんどの電力会社で運用されており、さらに1,000kV設計の架空送電線路も布設されています。

 架空送電線に使用される電線は、硬銅より線、鋼心アルミより線系電線、銅合金より線、アルミ合金より線、光ファイバ架空地線など絶縁被覆をしない裸の電線です。

ACSR

鋼心アルミより線(ACSR)

 

2.地中送電ケーブル

 架空送電線により超高圧変電所に送られてきた電力は、地中送電線(電力ケーブル)により1次・2次変電所又は3次変電所(配電変電所)へ送られます。

 都市近郊に建設されている火力発電所からの送電は危険を避けるため、大部分は地中に布設された地中送電線により超高圧変電所へ送られます。

アルミ被OFケーブル
アルミ被OFケーブル

 

高圧CVT

高圧架橋ポリエチレンケーブル(CVT)

 

3.配電用の電線

 配電用の電線は、変電所(配電用)から消費者まで電気を送るために使用され、地中配電線(地中布設)及び架空配電線(架空布設)があります。

 変電所において主に6600Vに電圧を変換し、柱上変圧器で100V又は200Vに電圧をさらに変換し、消費者まで電気を送ります。

 変電所から柱上変圧器までは、地中布設又は架空布設にて電気が送られ、それらの配電線には、屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線(OC)、架橋ポリエチレンケーブル(CV)などが使用されています。

 柱上変圧器から消費者まで電気を送る架空配電線には、屋外用ビニル絶縁電線(OW)が使用され、電柱から消費者の軒先への引込線には、引込用ビニル絶縁電線(DV)などが使用されています。また、積算電力計の前後には、ビニル絶縁ケーブル(VV)、600V架橋ポリエチレンケーブル(CV)などが使用されて屋内配線に接続されています。

架線状況

屋外用配電線の架線状況

 

4.配線用の電線

 配線用の電線は、最終使用箇所の配線段階で使用する電線で、非常に多岐にわたる電線が使われています。

(1)建築物・設備配線用の電線

 一般建築物、設備配線用の屋内配線には、600Vビニル絶縁電線(IV、HIV)、ビニル絶縁ビニルシースケーブル(VV)及び高圧・低圧架橋ポリエチレンケーブル(CV)が使われています。

VVF
ビニル絶縁ビニルシースケーブル(平形)(VVF)

 

低圧CVT

低圧架橋ポリエチレンケーブル(CVT)

 

 マンションなどでは、配線用遮断器から各配線器具に至る分岐回路に使われるケーブル(VV、CV)を配線器具に至る所定長さ・所定本数接続し、結線部をモールド加工したユニットケーブルが使用されています。

ユニットケーブル

ユニットケーブル

 

 発電所、変電所、工場など各方面で、機器の遠隔操作など、自動制御を行う制御回路に制御ケーブルが使用されており、制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル(CVV)、制御用ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CEV)、制御用架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CCV)などがあります。

CVV(しゃへい付き)

CVV(しゃへい付き)

 

 耐火ケーブル(FP)は、消防庁の規定(消防庁告示第10号 平成9年12月18日)に基づき認定されたケーブルであり、耐火性に優れた耐火層を設けることで、加熱開始後30分間で到達温度が840℃に達する火災曲線に従い加熱されても、通電性能を保持し、非常電源回路などへの使用を認められた電線です。また、耐熱電線(HP)は、消防庁の規定(消防庁告示第11号 平成9年12月18日)に基づき認定された電線であり、耐熱性に優れた耐熱層及びシース材料を設けることで、加熱開始後15分間で到達温度が380℃に達する火災曲線に従い加熱されても、通電性能を保持し、火災発生時に使用する非常放送用スピーカーや非常ベル起動装置などの弱電回路への使用を認められた電線です

高難燃ノンハロゲン耐火ケーブル

高難燃ノンハロゲン耐火ケーブル

 

(2)鉄道配線用の電線

 鉄道用の配線として電車への電力を供給するのに電車線(トロリ線)、き電線(フィーダ)、車両内部の配線には車両用電線、また、色灯式信号機には、信号用ケーブルなどが用いられ、通信用の各種電線・ケーブルも多く使用されます。

トロリ線

みぞ付トロリ線

 

EM電線・ケーブル

 地球環境保全の観点から1998年3月、国土交通省(旧建設省)官庁営繕部よりグリーン庁舎計画に基づき環境調和型電線・ケーブルの開発と規格作成の要請を受け、電力用、制御用電線・ケーブルの規格を作成しました。これらの電線・ケーブルを「EM電線・ケーブル」と呼ぶことにしました。EMとはエコマテリアル(Eco material)及び耐燃性の意味です。この電線・ケーブルは、従来から使用されているビニルにかえて耐燃性ポリエチレンを使用しているため、①ハロゲン元素を含まないため有害なハロゲン系ガスを発生しない、②鉛などの重金属を含まず土壌汚染がない、③燃焼時の発煙量が少ない、④腐食性ガスを発生しない、⑤ビニルと同等の難燃性がある、⑥ビニルを絶縁に用いた電線に比べて耐熱温度が高い(75℃)ため許容電流が大きくとれる、⑦被覆材をポリエチレン系に統一しているためリサイクル対応が容易である、等の特徴があります。

 

通信用の電線

 電気信号で情報伝達を行う電気通信のうち、電線を使用して通信を行うものを有線通信、電線のかわりに電磁波を用いて通信を行うものを無線通信といいます。有線通信は、古くから電話に、近年ではコンピュータネットワークに多く使用されています。

 音声・画像・データの通信を行う情報としては、アナログ信号やデジタル信号があり、これらの信号をそのまま電流の変化になおして伝送するベースバンド伝送方式と、何回線分かをまとめて伝送する多重伝送方式とがあります。一般的に後者の伝送には、非常に高い周波数帯まで必要とされるため、従来は搬送用ケーブル、同軸ケーブルが使用されていましたが、最近では、広帯域、低損失しかも無誘導という大きな特徴を有する光ファイバが広く使用されるようになりました。

 

1.電話用ケーブル

 電話用ケーブルは、市内線路用、市外線路用、構内配線用及び加入者配線用などがあります。一般に市内線路用には、市内ケーブルが用いられており、対形と星形があります。対形ケーブルは、導体をプラスチックで絶縁した線心2本を対より、集合してシースを施したケーブルです。星形ケーブルは、線心4本を星形(カッド)に配列してより合わせることで仕上外径を小さくしたものであり、CCPケーブルやPECケーブルなどがあります。

 市外線路用には、比較的近い都市間では市外PEF-LAPなどが用いられ、長距離の都市間には主として光ファイバケーブルが用いられます。市外線路は市内よりも長距離になり、高周波帯まで使用されるので伝送特性が良くなければなりません。また、長距離にわたり多くの本数のケーブルをならべて布設するのは不経済であるため、少数のケーブルをできるだけ能率よく利用することが必要です。そのため、市外ケーブル、光ファイバケーブルなどにより、1回線で多数の通話を同時に送る方法がとられています。これを多重化といいます。

 その他、ビルなどの構内配線用には、通信用構内ケーブルやFCPEV、加入者宅への引き込み用にはSDワイヤや通信用屋外線、加入者宅内には通信用内線などが用いられます。

PECケーブル

PECケーブル

 

2.同軸ケーブル

 主にアンテナや高周波機器の接続、内部配線、給電線に使用されます。軟銅線、軟銅より線又は銅覆鋼線の内部導体をポリエチレンで絶縁し、外部導体として軟銅線編組などを用い、ビニルシースを施した同心円状の構造となっています。テレビジョン受信用同軸ケーブル、CATV用同軸ケーブル、漏えい同軸ケーブルなどの種類があります。
テレビ受信用同軸ケーブル
テレビ受信用同軸ケーブル

  

3.光ファイバケーブル

 光ファイバケーブルは、細く、軽く、低損失、広帯域で情報伝達量が多く、電磁誘導や、雷害を受けず、漏話や放電がなく、理想的な通信ケーブルといえます。

 光ファイバケーブルの応用分野は、公衆通信、都市型CATV、電力系統の監視・制御、鉄道や道路交通の管理・制御、架空地線をはじめ各種ケーブルとの複合化など、幅広い分野で利用されています。最近では、FTTH(Fiber To The Home)の普及に伴いビル内や家庭内へも光LANとして利用されはじめています。

光ファイバケーブル
光ファイバケーブル

 

4.海底光ケーブル

 海底光ファイバケーブルの構造は、布設時及び引き揚げ時のケーブル張力や水圧に耐え、高水圧下でも浸水を防止するという特徴があります。また、布設距離が長距離(中継器間隔75~100km)であり、ケーブル補修並びに張替えが非常に困難なため、高い信頼性が要求されます。

 基本的な構造の一例として、光ファイバ心線を直接、耐圧層としての3分割鉄個片内にジェリーとともに挿入、保護し、外周に鋼線、銅パイプ、シースを施す構造になっています。なお、ケーブル内部には浸水防止のためコンパウンドを充填します。

 さらに浅海域では、潮流による摩耗や船舶からの錨の投下、漁船の底引き網などの外力によりケーブルが損傷する恐れがあり、機械強度を高めるためにケーブルシース上に一重又は二重がい装を施します。

 海底用光ファイバケーブルに使用する光ファイバは、長期信頼性を有する必要があるため、陸上用ファイバよりプルーフレベルの高いものを使用します。

海底光ファイバケーブル
(上)浅海用海底光ファイバケーブル(がい装付)
(下)深海用海底光ファイバケーブル(無がい装)

 

巻 線

 これまで説明してきた電線は、主に電気エネルギーを目的の場所まで送り届ける役目のものでした。ところが中には電気機器内のコイルとして使用され、直接電気の伝達に関係のない電線があります。これらには、機械エネルギーを電気エネルギーに変換して発電に寄与するものと、他の電線によって送られてきた電気エネルギーを機械エネルギーに変換して動力を得るものとがありますが、そのいずれも磁気エネルギーを媒体として電気エネルギーと機械エネルギーの相互変換を目的とする電線で、わが国ではこれを巻線と総称し、欧米ではWinding Wire 又はMagnet Wire と呼ばれています。

 巻線は、大は発電所から小は腕時計まで、あらゆる電気機械、通信機器及び電子応用機器の主要な材料として極めて広い範囲にわたって使用されています。

 導体に絶縁材料として、綿、絹、ガラス繊維や紙、フィルムを巻き付けた横巻線と、各種エナメルワニスを焼き付けたエナメル線に大別されますが、従来から使用されてきた綿巻線、絹巻線、油性エナメル線はほとんど国内では生産されなくなり、今日では、各種の新しい絶縁材料を使用した優れた巻線がつくられ、また、新しい用途に対する特殊な巻線も非常に多くなっています。

 巻線の導体材料は、銅が主ですが、アルミも使用されています。

巻線製品
巻線を使用した製品

巻線を使用した時計
超極細エナメル線を使用した時計

 

機器用の電線

 電気機器、電子・通信機器の配線及び機器内配線に用いられる電線です。家電製品をはじめとし、各種電子機器用の電線への安全規格基準の強化、性能向上の要求等がますます強くなってきており、耐熱性、難燃性、電気特性の優れた高品質、高信頼性の電線が開発され、用いられるようになっています。

1.電気機器配線用の電線

 屋内の電気機器に使用される各種コードやモーター、発電機、中・小型の変圧器などの電源の引き込み又は引き出しに用いられる口出線、また、配電盤、制御盤及び信号機器等の内部に配線される機器内配線用電線、通信機器相互を接続する機ひもなどの種類があります。
交換機用機ひも
電話交換機用機ひも

 

2.電子・通信機器用の電線

 コンピュータ、通信機器をはじめ、複写機、テレビ、オーディオなどの民生用電子機器の発展は、ますます拡大されています。これら電子機器に使用される電線・ケーブルも、用途に応じて多種多様のものがあります。要求特性に合わせ、適切な線材の選択が必要となります。

 機器内部及びシステムを構成するため、機器間には相当量の電線が配線されており、その一本でも不具合が発生すると、機器全体又はシステム全体の機能が停止することも稀ではありません。電線の一本一本が重要な役割を果たしているといえます。

 電子機器に使用される電線は、その構造から、絶縁電線、同軸コード、多心ケーブル及び多心ケーブルの一種である平形電線(フラットケーブル)の4つに大きく分類することができます。
テープ電線
フラットケーブル(テープ電線)

 

輸送用の電線

 自動車、航空機、船舶などは、いずれも内部に発電機を備え、発電をしながら電気を使っています。これまで述べてきた用途では、一般に発電所で発電された電力を利用していますが、それと違って自身の内部に独立の電気系統をもっているわけです。また、これらは、いずれも激しく運動する精密な機械ですから故障を起こさないよう、その性能を最高度に発揮させる専用の特殊な電線が必要とされています。

 自動車用電線は、自動車の走行に必要な機器、エンジンなどに電力、信号を送るために用いられ、たえず振動し、高温、寒冷、機械油、風雨にさらされるという悪条件下でも安定した性能が発揮できるようにつくられています。自動車用電線は、主に車内配線に用いられる低圧電線と、近年のハイブリッドや電気自動車のモーター駆動に用いられる高圧電線があります。

 低圧電線は、軽量化を目的とし、信号回路は従来より細いサイズが用いられるようになっています。また、環境対応型の製品としてハロゲン化物を含まない絶縁体も製品化されています。ハイブリッドや電気自動車用高圧電線は、一般の低圧電線に比べ耐熱性、柔軟性に優れた絶縁材料で被覆されており、メンテナンス時などの感電に対する注意喚起のため、専用表示色であるオレンジ色に着色されています。

 上記の各種自動車用電線を使用して、自動車に応じて配線に便利なように組み立てたものをワイヤハーネス(組み電線)といいます。このワイヤハーネスにより自動車の各部へ電気信号や電力が効率的に伝えられ、自動車の「神経・血管」としての役割を果たします。

 このほか、航空機や船舶にも、その厳しい使用環境を考慮して、安全性を確保するという面から、各種の特殊仕様の電線が使われています。

自動車用ワイヤハーネス
自動車用ワイヤハーネス


船用電線
船用電線